鏡屋(かがみや)の前に来て
ふと驚きぬ
見すぼらしげに歩(あゆ)むものかも


 これ以上悪くなるなと
 願うのみ
 歩けなくともそれはそのとき
 (一郎)'06.10.2

 公園で遊びし子らをわき見して
 電信柱に
 顔をぶっつけ
 (一郎)'04.2.10

 ヒゲ剃りの鏡は傷み見づらいが
 換えずに使う
 ただただ不精

 部屋の隅に姿見があるにはあるが見ないようにしている
 スマートなら見るかもしれないが
 わが美意識に反して完璧なメタボ腹
 やせたいとは思うのだが
 もう努力する気力もない

 鏡を見ないもうひとつの理由だが
 鏡に写った私の姿は父親にそっくりな気がする
 姿だけではなく電話で話す声が父に似ている
 父に似ているのが嫌なのではなく
 父のことを思い出したくないという気持ちからのようだ

 父のことを思えば今の自分の生き方を問うことになる
 還暦にもなってこんな青臭いことを思う自分が嫌だな
 いまさら自分自身と向き合ってどうなる
 鏡を見ないようにしているのは・・・
 父からも自分からも逃げている後ろめたさからなのだろう
 [ 一郎 ] '08.6.21