Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―



自分の部屋に招いてくれる仙太郎は、咳を零しながらおれ達が部屋に入るのを確認。

扉を閉めて、「此処がぼくの部屋なんだ」とわざわざ紹介してくれる。


何処か活き活きとしている仙太郎は、おれ達にベッドに乗っていて良いからね、と促して自分はいそいそと四隅に置いてあるオモチャ箱を引っくり返す。

オモチャは部屋に放置し、ごそごそと箱の底を探っていた。
 

何をする気なのか。



答え、その箱で寝床作り。
 


中に入っている塵ごみをゴミ箱に捨てて、箱の中を綺麗にすると部屋を飛び出し、バスケットタオルの束を持って戻って来る。


二、三枚、それを広げて綺麗に敷き詰める仙太郎は一生懸命だ。

こんな姿、久々に見た気がする。
いや、仙太郎を久々に見ている気がする。


見ているとなんだか、心が癒された。


『一生懸命ね。仙太郎』

『そうだな』


頼子も同じ気持ちなのか、微笑ましそうに笑声を漏らしていた。