しかし仙太郎は一生懸命にパソコンで検索。
ゆりちゃんと呼ばれた同級生に朝から連絡をし、ねこのための食事を教わっていた。
仕舞いには自分の朝食なんて放ったらしでゆりちゃんの家に行き、キャットフードのおすそ分けを頂戴していた。
息子がこんなにもしてくれているのだから、食さないわけにもいかず(寧ろ食べなかったら心配されるだけだ)。
親心を持って、おれと頼子は差し出されたキャットフードとやらを食べた。
仙太郎の言うとおり、空腹もあったんだ。
キャットフードを平らげた後は仙太郎も遅めの朝食、否、昼食を取り始める。
仙太郎の食べているトーストがやけに美味そうに思えたのは、おれの心が人間だからだろう。
頼子も『とろけるチーズと一緒に食べたい』と零していた。
まったくもって同意見。
人間の物を食べたい(食べて死んだら元も子もないから試さないけれど)。
軽い昼食を取り終わった仙太郎は、「次はお部屋かな」お父さんとお母さんに見つかったら大変だしね、と子供ながらに思案。
まさかそのお父さんとお母さんが、この猫だと知る由もない仙太郎は「おいで」とおれ達を手招きして駆け出す。
猫が従うわけないだろ、内心で毒づきながらも、おれ達は人間の言語が分かるねこ。
いや気持ちは人間だから仙太郎について行く。



