「―――…んとね、お父さんとお母さんの帰りが遅くてね。
電話もないし、ぼく、今日は…、もう駄目なんじゃないかってこっそり観に行ってたの。明日もお父さんとお母さん、お仕事だろうし」
事故により軽い警察の事情聴取を受けていたおれ達は、それを終えると仲良く三人で帰路を歩いた。
目を泳がせて説明してくれる仙太郎は、明らかに嘘をついているようだ。
手に持っているビニール袋が、それを証明してくれている。
中身を確認しなくとも、なんとなく透けて見えるそれ。
おれと頼子は悪夢の続きでも見ているのではないかと微苦笑を零した。
まさか、またそれをおれ等に食えと言うわけじゃないだろうな。
率直に言うぞ。
それ、味がないんだよ。
夢の中だったからかもしれないけど、味がまったくしない。
寧ろ生臭さオンリーだったぞ。
しっかりと両親と手を繋いでいる仙太郎を見下ろし、おれ達は少しばかり息子の嘘に付き合ってやることにする。



