「やっぱりぼく、君達を飼いたいなぁ。お父さんとお母さんをどうにかして説得できないかなぁ」
そう言って青になった信号を渡し始める仙太郎。
後に続こうと思った刹那、クラクション音が夜空に鳴り響いた。
動く間もなかった。
突然、信号無視してきたバイクに仙太郎が跳ねられてしまったのだから。
絶句しているおれと頼子だったけれど、人盛りやら悲鳴やら車道を走っている車のクラクションやらで我に返る。
『仙太郎!』
おれと頼子は迷わず駆け出した。
人盛りを掻き分けていくと、そこには血の水溜り。
そしてころんと転がっている小さな体躯。
頭から血を流してひゅうひゅうと苦しそうに呼吸を繰り返す仙太郎は、おれ達の姿に力なく笑った。
「けが…、しちゃった」
シロとクロは怪我がなさそうだね、良かった。
嗚呼、良かった。
瞳に宿している光が失われていく。
必死におれと頼子が鳴いて縋るけれど、仙太郎は微動だにしてくれない。
嘘だろ、なんで、なんでこんなことに!



