Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―



おれ達の体を引き寄せて、ぎゅっと抱き締めてくる仙太郎はお父さんとお母さんのこと、ぼくは大好きだと告白した。

お仕事が好きなお父さんとお母さんも好きだし、遊んでくれるお父さんとお母さんも好きだし、いつも心配してくれるお父さんとお母さんも大好きだ。


ぼくはね、お父さんとお母さんの子供で良かったって思ってるんだ。

お父さんとお母さんには内緒だよ。


「プレゼントはいらないかも。お父さんとお母さんが一緒にいてくれたら、それでいい。だけどもしもサンタさんがプレゼントをくれるなら、そうだね、お願いを聞いて欲しいや」


喘息が治りますようにって。

そしたらお父さんとお母さん、喧嘩せずに済むでしょ?


「お家のことも安心して、ぼくに任せてくれるよね」


はにかむ仙太郎は軽く目尻を手の甲で擦って、おれ達を交互に見やった。

そして駅前のイルミネーションに目を向ける。



「折角のイルミネーション、お父さんやお母さんと観られなかったなぁ。
でもシロとクロが一緒に観てくれるから、寂しくないよ。ありがとう」



帰ろう、さっきの小人さんを探さなきゃ。


仙太郎は勢い良く飛び下りて歩き出す。



子供の気持ちを聞いて、こんなにも胸を痛めるなんて思いもしなかった。