―――…これはクリスマス・イブの悪戯と称せばいいのだろうか?







「あれ、こんなところにねこがいる。しかも二匹も」

 
 
その子供の声音でおれは目が覚める。
 
寝起きの思考でも声の主が息子だということは容易に察しがついた。


浮上する意識と体がついていけず、おれは息子の声を無視する。


もう少し眠っていたい。

まだ出勤するには早い時間だろうから。


寝室の肌寒さから、ついつい身を丸くし、もう一寝入りしようと重たい瞼を閉じなおす。
 

「駄目だよ」困ったような息子の声。

寝かせてくれと狸寝入りを決め込んでも、息子はしきりに声を掛けてくる。



そして、「何処から入ってきたの?」言うや否やおれの体を持ち上げた。



…持ち上げた?
 
 

驚いて瞼を持ち上げれば、幼い息子の顔がそこにあった。

あるだけならまだしも、息子を若干見上げているという不自然な体勢。


おかしい、なんで息子がおれの体を持ち上げているんだろうか?


両脇に手を挟んで、父親であるおれを持ち上げる息子はコホコホと軽く咳をしながら、おれを見下ろして眉を八の字に下げた。