そう思うと、やっぱり頼子には仕事をやめてもらいたい念が出てきたりこなかったり。

言うとこの場で喧嘩になりそうだから、口にはしないけれど、息子のためにも頼子には家を守ってもらいたい。


『貴方って顔に出やすいのね』


不機嫌に頼子が鳴いてきた。どうやらおれの心情を悟られたらしい。

不機嫌に鳴き返したら、軽く向こうに睨まれた。


「あれ、喧嘩してるの? 駄目だよ。仲良くしなきゃ」
 

よしよしと仙太郎がおれと頼子の体を撫でてくる。

「喧嘩してもね」

楽しくもないし、面白くもない、ツマンナイ気持ちになるんだよ、息子に諭されてむず痒い気持ちに駆られた。


九つの息子に仲裁に入られるなんて、親としてどうかと思う。羞恥が込み上げてきた。


きっと頼子も同じだと思われる。

気恥ずかしそうに鳴き、誤魔化すように仙太郎の顔を舐めていたのだから。


くすぐったいと笑う仙太郎は、おれと頼子を一緒に抱いて笑みを零す。


こんなにも笑う息子を見るのは本当に久しぶりの事だった。



「シロとクロは兄弟なのかな? それともお父さんとお母さん? 家族? ぼくはきっとお父さんとお母さんだと思うんだ。どうしてだろうね」

 

君達、ケッコンしてるんでしょう。

おどけてくる息子の鋭い勘にはおったまげる。


子供って結構鋭い感覚の持ち主なのかもしれない。