「今日は早く帰ってきてくれるかな、お父さんとお母さん。ぼくが起きた時にはもういなかったんだよね。
学校も一昨日、終業式だったから今日はゆっくり寝ようと思っていたんだけど…、どうしてもそれが知りたくていつもの時間に起きたんだ。そしたら君達がいてさ、びっくりしちゃった」
一変して明るさを取り巻く仙太郎は、おれと頼子の申し訳なさを感じ取ったのかもしれない。
「遅くなっても寂しくないね」
だって君達がいるもの、仙太郎は満面の笑顔でもみの木をクリスマスツリーへと着飾っていた。
最後の星を付けると、「完成だ!」無邪気に笑ってクリスマスツリーを見つめる。
なんとなく不恰好に飾られたクリスマスツリーだけれど、仙太郎が満足そうにしているのでよしとしよう。
お父さんとお母さんが帰ってきたら自慢しよう、前向きに笑う仙太郎だったけどコホンと咳き込んだ。
それが引き金となって呼吸も儘ならないままゲホンゴホンと咳を繰り返している。
あまりにも酷いものだから、おれと頼子は仙太郎の体に擦り寄ってにゃあと一声。
うん、大丈夫、だいじょうぶ、子供ながらに見せる気丈が痛々しい。
いつものことだと力なく笑う仙太郎は、腰を上げてふらふらっと台所へ。
少し落ち着きを取り戻したところで、医者から処方してもらっている錠剤を飲んでいた。
それでも暫くは咳が止まらず、ソファーに座ってゴホンゲホンゴホンゲホン。



