柊様は何とも思わないのか。

あれは死体だ。死体になんて触れたくない。最低だが、誰もがそう思うだろう。なのに。


「仲良しのお人形だったんだよ。でも、飽きたの」


親指に手を掛け、間接とは逆に曲げた。

骨が砕ける音が此方までよく聞こえる。耳の隙間に入り込んでしがみついてくる。


「薺と遊んでくれなくなったから」


人差し指。


「嫌いになっちゃった」


中指。


五本の内三本の指が通常とは違う方向に折れ曲がっていた。

私もいつかそんな風にされてしまうのだろうか。いつか、嫌われたその時。

また1つ音が鳴った。


「あ、あ、あぁぁぁっ!」


それを合図に、叫び声を上げて私は来た道を走り始めた。