「本当に、可愛げの無い子!小さい時はもっと素直で…」

親であれば、一度は使うであろう、おきまりのせりふを口にしながら、心の母親は、部屋を後にした。



「…一体、誰からかしら?差出人不明って…」

心は、手紙の内容もそうではあるが、むしろ、『差出人不明』という部分に気を引かれ、読んでいたファッション雑誌を閉じると、その手紙の入った封筒を手に取った。

そして封を切り、中から手紙を取り出した。

「笑えるいたずらだったら、許してあげても良いけれど…」

退屈していた所に、面白い物が舞い込んできたぞ、と、クスクス笑いながら、心は手紙の内容を確かめた。

そんな調子ではあるので、心は、少し人とは変わっていたとは言える。

ただ、その手紙の内容には、さすがに風変わりな心と言えども、平常心を失わせるには十分であった。

「き、気持ち悪いっ!な、何この手紙っ!」