私は"箱"としても死んだ

意識はブラックアウトしたはず

なのに

なのに目の前には花畑

私は地獄行きなはずよね

なのになぜ?

「楓」

どうして私の名を?

長い時間忘れられた名を

「楓」

「楓」

「楓」

「楓ちゃん」

「かえちゃん」

皆いる
お母様、お父様、兄様、お祖父様
おじいちゃま、おばあちゃま

「楓」

あぁ、雷斗
私の愛しい人

みんないる

私だけ違う機械だから
"箱"だから

私は地獄行きだから

神様最後の祝福だね
ありがとう

「もういいよ、頑張った」

皆…ありがとう

「これからはずっと一緒だよ」

微笑む彼に

「私は機械よ、それにたくさん」

泣きそうになった

「君は優しいからね」

抱きしめてくれたとき

「え?」

手があった
長い間抱きしめ返せなかったのに

やっと抱きしめ返せる