【短編】Last Love~死神のキス~



「ああ、それはおまえの勝手な思い込みだ。

おまえの頭が、

人間の形したもんは
みんな36度前後の体温を持ってるって記憶してるからそう感じるだけ。

本当は体温なんかない」



いまいち分からないトモの言葉を聞きながら

美鈴はトモの手を眺めていた。


初めて触る男の手は

ごつごつしていて
自分の手とは全然違って…


浮き出た血管も
骨ばった間接も…

きっと人間の男と変わらない。



トモの手の暖かさが
本当に自分の思い込みからなのか
不思議になるくらい

トモの手は暖かかった。



初めて触る手なのに…

触っていると不思議と安心してくるような…




「…っ?」


俯きながらトモの手に見入っていた美鈴の目に
急にトモの顔が映って…

美鈴が体を強ばらせた。



「…動くなよ」




トモの手に顎を上げられて…


至近距離のトモのキレイな瞳に
吸い込まれるように動けなくなって…


大人しくなった美鈴に
トモがゆっくりと唇を重ねた。








「…―――っ」



その感触に我に返った美鈴が
力いっぱいトモの胸を突き飛ばす。


その反動でトモが一歩後ろに下がった。





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