【短編】Last Love~死神のキス~



「…じゃあどうすれば連れてってくれるの?

投げやりじゃなくて…


あたし本当に悔やんでる事なんかない」



どこまでも真っ暗な闇を見つめながら…

美鈴が呟くように言った。



突然こんな暗闇だけの空間にきてしまったのに

そんなに動揺するわけでもなく


「やっぱり死んだんだ」


くらいの気持ちだった。








だってあれは…







あのトラックとの衝突は…








「じゃあこうしよっか」


美鈴が表情をつらそうに歪めていた時

トモが思いついたように言った。


その低くも明るい声に美鈴が顔をあげる。


美鈴と目が合うと
トモがにっと笑って…



「やっぱり
男を何も知らずに死んでいくのは不憫で仕方ないから

オレが今日いっぱいおまえの彼氏をやってやるよ。


デートして色々楽しませてやる。


その後逝けよ」


「…余計なお世話なんだけど」


「いや、どう考えても不憫だ。

それに死の世界逝ってもバカにされるぜ?


それでもいいの?」


肩をすくめながら笑うトモを美鈴が口を尖らせながら見つめる。







『死の世界』


想像もできないその場所が一体どんなところなのか…


ここにきて初めて少しの不安がよぎって…



トモから目を逸らした後

美鈴がコクンと頷いた。




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