穴が開くほど真剣に空を見つめていると…
ふと横からの視線に気付き
美鈴がゆっくりと振り向く。
その先に信じられない光景があって…
美鈴が目をギュッと閉じて俯く。
なに…?
幻覚…?
俯いたまま目を開くと
美鈴の目に黒い靴が映る。
見覚えのある靴に…
美鈴が息を飲んでから
恐る恐る顔を上げた。
「…よう」
初めて会った時みたいな挨拶に…
美鈴が言葉を失う。
「なんかさ、やっぱり死神クビになってさ(笑)
…人間に降格だって」
にっと笑うトモの口元から八重歯が覗いて…
美鈴がトモを見つめたまま涙を流す。
泣き顔を隠すのも忘れて泣く美鈴に
トモがふっと笑って口を開く。
「そんな子供みたいだから彼氏ができねぇんだよ(笑)」
トモが美鈴の涙を指ですくって…
そのまま抱き寄せた。
「まぁ、もうオレがいるんだし
彼氏なんか作る必要ねぇけどな」
トモの体温も
胸から伝わってくる鼓動も…
間違いなくトモのモノで…
そう思うとまた涙が止まらなくなる。
「…美鈴?
なんか言えよ(笑)
会ってから美鈴の声聞いてないんだけど」
トモが抱き締めたまま優しく言って…
そんなトモに美鈴が口を開く。
「…トモが教えてくれるんでしょ?
…恋愛。
ちゃんと約束守ってよ…
キスの続き…
ちゃんと全部教えて…」
涙で途切れ途切れになる美鈴の言葉にトモが笑みをこぼして…
「じっくり教えてやるよ。
…時間はたっぷりあるしな(笑)」
FIN
.



