空をあの日みたいに飛行機雲が渡っていく。
たった1日のトモとの時間は
美鈴の生きてきた17年間で
一番色づいていて…
何を見てもトモに結び付けてしまう自分に少しだけ苦笑いした。
目を閉じれば思い出せるあの笑顔も
ずっと握っていてくれた大きな手も
選ばせてくれたソフトクリームも
あの日見た風船も
意外と力強い体も
熱いキスも
優しいキスも
流れる黒髪も
キレイな瞳も
『生きろよ』
そう言った低い声も…
全部が鮮明に美鈴の胸に刻まれていた。
「…生きるよ」
そんな事を呟く。
「生きる」
トモがずっと見つめていた空を見ながら…
小さく微笑んだ。
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