「言っただろ?
全部見えてるって(笑)
死神なめんなよ?」
にっと笑って見せるトモの体が
だんだんと透けていく。
トモの体を抱き締めたくて…
それなのに体が動かない。
「じゃあ…なんで助けるの?
自殺しようとしたあたしなんか…
なんで…
助けたりするの…?」
いくら叫ぼうとしても
声よりも涙がこぼれて…
思うような大声が出せない。
胸が詰まって…
苦しくて…
声が出ない。
「…助けたかったから」
トモの低い声が闇に吸い取られていく。
トモの体はもう全部透けていて…
足元は見えなくなっていた。
「……あたし、死ぬから…
そうしたらトモ助かるんでしょ?!
あたしいらないっ
いらないから、だからっ」
「…もう無理」
トモの言葉に…
美鈴が表情を歪める。
自分のせいでトモが消える。
自分のせいでトモが…
トモが
消える。
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