「やだっ…
やだよ…
トモがいなくなるなんて…
消滅しちゃうなんて絶対にいやっ…」
「…美鈴、顔あげて?」
足元を見るように俯いていた美鈴が
トモにまた小さく首を振った。
「トモ…
あたしトモに言ってない事がある…
あたし…
あたしのあの事故は…」
美鈴の涙が足元の闇に落ちていく。
ぽたぽたと落ち続ける涙が
闇の中で光を失いながら一瞬にして闇に捕われる。
あの時
美鈴がトラックに弾かれたのは…
事故なんかじゃなかった。
美鈴が
わざと車道に飛び出したものだった。
おばあちゃんが亡くなった事が受け入れられなくて…
自分の人生にひどく悲観してしまって…
耐え切れなくなって…
逃げたくなって…
それであの時…
「…知ってたよ」
トモの言葉に…
美鈴が涙で濡れた顔を上げた。
美鈴の涙で歪んだ視線の先で…
トモが優しく微笑む。
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