…―――カシャ
『写真は下から出ます。
お釣りの取り忘れのないように…』
そんな機械の声を聞きながら…
トモがゆっくりと唇を離した。
2回目のキスが…
終わった。
「…上、戻るか」
トモが美鈴から視線を外して言う。
トモの言葉に美鈴が少しだけ笑顔を作って頷いた。
写真機から出ると、
トモが繋いでいる美鈴の手を引っ張って…
「…掴まってろ」
そう言った。
上から降りてきた時と同じ行為なのに…
ひどく胸が高鳴って…
苦しくて苦しくて仕方なかった。
美鈴がぎゅっとトモの体に抱きつくと
トモの手が美鈴の体を抱き締める。
両手できつくきつく抱き締めるトモに涙が溢れてきて…
トモにばれないようにトモの胸に顔を埋めた。
トモの体が暖かくて…
でもこの体温はトモのものじゃないという事が悲しかった。
これから死の世界に行くことよりも…
トモと離れる事が恐くて仕方なかった。
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