「今までありがとう。
すごく…
すごく楽しかった。
もう心残りなんか本当にないよ」
笑顔で言った美鈴の言葉にトモが黙って…
そして俯いて笑みをこぼした。
「…そっか」
「…うん」
「…そっか」
「…うん」
呟くように繰り返すトモを見ていると涙が滲んできて…
美鈴もトモと同じように俯いた。
視線の先のグレーのアスファルトが
明るくなったり、暗くなったり…
雲で覆われがちな太陽の光を反射させている。
すぐ近くにあるメリーゴーランドが
キレイなメロディを流し続ける。
周りにいるたくさんの人たちが思い思いの言葉を口にする。
うるさいくらい賑やかなはずなのに…
トモの
『…そっか』
その言葉だけが…
静かに落ちていく…
「…そっか」
また1つ呟いたトモに
「うん…」
美鈴が唇をかみ締めながら頷いた。
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