実際には美鈴の祖母ではなかった。


血の繋がりもないあかの他人。



施設の隣に住んでたおばあちゃんは
美鈴の唯一の相談相手で…

小さい頃からずっと本当の祖母みたいに
慕ってきた。




高校に入ってからも

その日の出来事や入った部活の話、


学校であった事を全部話していた。



暖かくて…

優しくて…


家族の雰囲気を持つおばあちゃんが大好きで…



「みぃちゃん」


そう呼ぶおばあちゃんが大好きだった。





なのに…



3日前、おばあちゃんは亡くなった。


老衰だった。




93歳だったおばあちゃんは誰がどう見ても大往生で…



『仕方がない』


みんながみんなそう言った。





美鈴もそう思ったのに…


どうしても

どうしても




受け入れる気持ちにならなかった。






「…おばあちゃん、元気かな」


「ぴんぴんしてんじゃねぇ?(笑)」



明るく言うトモに

美鈴がふっと笑う。







長い長い飛行機雲が空を渡っていて…


2人で何も言わずに空を眺める。








トモが繋いだ手に

ぎゅっと力をこめた。






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