――――どうして、嫌だと言えなかったのだろう。 いつもそうだ。 あなたの言うがまま。 男と関わるな、と言われたから、そうした。 メールはすぐに返せ、と言われたから、そうした。 来い、と言われれば行き、帰れ、と言われれば帰った。 そして、別れよう、と言われたから、そうした。 友達が言うには、これを束縛、と言うらしい。 私は嫌じゃなかった。 それだけ愛されている証だと思っていた。 だけど、違ったんだね。 嫌だと言っていれば、まだあなたは隣にいたのかな。 また、笑い合えたのかな。