『……泣いてんじゃねぇよ。』
すぐに伸ばした手で掴んだ理向あみの肩。それを乱雑に後ろへ引けば、見えたグロスが塗られてぷるっとした唇はグッと噛みしめられていて。
はぁ。零れるタメ息。ぶっきらぼうにそう声をかける俺。
泣くなんて普通思わねぇだろうが。お前、いつも周りの女達になに言われても平気な顔してシカトこいてたじゃねぇか。
俺の中の理向あみは他の奴等と変わんねぇ。"男癖の悪い小悪魔女"そのレッテルが貼ってある。
だけど、あと一つ。"強い女"俺はもう一枚、そんなレッテルを理向あみに貼っていた。
こっちが聞いてるだけでイライラして、ぶん殴りたくなってしまう汚く酷い言葉をしょっちゅう言われている理向あみ。
たまたまつい先日、それを近くで見てしまって。しょうもねぇ。そう思いながらも暫く俺は立ち止まって、どうするのか見ていた。
ぐるりと理向あみを囲む女達の口からはよくもまあそんなにきったねぇ言葉がポンポン出てくるもんだと。
ある意味感心してしまうぐらい大量の汚れた言葉で理向あみを傷つけていく女達。こいつら暇なんか。
つーかやっぱこんなん見るもんじゃねぇ。すんげぇイライラする。
ぐにゃり。自然と歪んでいた顔。やめだやめだ。昼寝昼寝っと。


