男はソファーに深く腰をかけ直した。


「進路って…お前幾つ?」

「十六歳です」

「高2か」


あたしは頷く。
高2の夏で進路のことを考え始めるのは早すぎるわけじゃない。


「じゃあ依頼内容は、マニアックなストーカー撃退だな」

「アナタ、余計な一言が多いですよ」


確かにマニアックとは思うけど。
本人を目の前にして言うことじゃないでしょうに。


「とりあえず、名前教えろ」


男の言葉で、お互いに自己紹介もしてなかったことを思い出した。

あたしは姿勢を正して、お辞儀をする。


「立花 星華(タチバナ セイカ)、高2です」


よろしく、と付け足すと、男も口を開く。


「俺は志藤 柳(シドウ ヤナギ)、魔法使いだ」




「――――は?」


固まってしまったあたしは悪くない…はずだ。