扉を開ける前に、手櫛で髪を整える。

雨に濡れた眼鏡を拭いて、かけ直し、コンコンコン、と三回ノックをして中に入ってみた。



部屋は、和洋折衷という言葉に対する冒涜だった。



意外にも広い部屋は、畳が敷いてあって、角にはゴツいバイク。

ダイニングテーブルがど真ん中に置いてあって、サイドボードの上には真っ黒な扇子が何個もあった。

そして、冷房がガンガンに効いている。


「………」


なんじゃこりゃ。



あたしの脳内にライフカードが出てきた。


◎ 帰る
◎ 出ていく
◎ 家主を呼ぶ


うん、帰ろう。

クルリ、身体を翻すと


「何の用だ」

「っ、ぎゃああ!!」


低い声。
高い身長。

黒い着物を身に纏い、黒い扇子を持っている男の人がいた。


あービックリした!