ここは…… 見覚えがあった。 そうここは…… あの桜のある小山 もう少し上れば枝を伸ばした桜が見えてくる。 藤壷は山を登っていた。 けれど、まるで雲の上を歩いているように足元が不確かだ。 ふわふわとして覚束無い。 ようやく頂上に辿り着く。 そこには今を盛りと咲き誇る、満開の桜木があった。