鋭く伸びた爪が、帝の首に食い込む。 強い力で締め上げられ、帝はそのまま倒れ込んだ。 次に赤く濁った瞳は右大将を捕らえ、跳躍する。 恐怖にゆがんだ顔の右大将を抱きすくめると、そのまま消えたーーー。 桜色の霧が消えると、桜の花びらが、気を失った帝の体に降り積もっていた。 まるで彼を労わるかのように。