「ううっ……毎年のこととは言えど、やっぱり緊張するな……」


俺、方城一輝(ホウジョウカズキ)。22歳。職業、俳優。


今日は三度目の主演男優賞の授賞式。いくら毎年と言っても、さすがに緊張する。


「方城さん 、リラックスですよ。リラックス。」


「ああ……」


マネージャーに肩をさすられる。……よし、落ち着いてきた。


「方城さん、時間でーす!」


「……わかりました。今、行きます。」


いよいよ授賞式-その時だった。


「うっ!?」


突然、マネージャーが口を押さえて膝から崩れ落ちた。


「マネージャーさん!?」


「ほう……じょ……さん……に……げて……くだ……さ……」


そこでマネージャーはゆっくりと目を閉じた。


「マネージャーさん!マネージャーさん!!」


ぺちぺちと頬を叩く。……どうやら、眠っているようだった。


そのうち俺は、とてつもなく強烈な睡魔に襲われた。


「なん……だ……こ……れ……」


我慢できずにその場に倒れ込む。その瞬間、俺の意識はどこかにとんでいってしまった-