副長の一人である山南が恐れを為すほどに、芹沢たちが畏怖の対象であるということを改めて知らしめられた。


だが、優しい人だ。


――いや、芹沢さんや山南さんだけじゃない。土方副長や沖田さん、一さん、烝も……皆が優しい。こんな私でも心配してくれる。


すぐに復讐を忘れることは出来ないけれど、そんな人たちを守りたいと思ったのもまた事実。


だから余計に気になる。


最近、光に鋭い殺意の入り混じった視線を向け、まるで監視するように見つめてくる鼠が一体誰なのか。


「……………………夕餉食べるか……」


夜空を見上げ、光はポツリと呟く。


本来空に輝くであろう月や星には、分厚い雲が掛かり、幻想的でありながら、先の見えない不気味な雰囲気を感じる。


小さな呟きは、辺りに響かず溶けて消えた。