彼女は、沖田 春野(はるの)というそうだ。 あの川沿いに家があるそうだが、高校は少し離れたS高に通っているらしい。 もう一度春野に会いたくて、俺は無意味に川原を散歩することが増えた。 川原に座ってやる気なく石を放り投げる。 また一つ、石がちゃぽんと川に沈んだ。 「はぁ」 意味もなくため息が漏れる。 これはもう、癖みたいなものだった。 その時。 「大野くん」 と声をかけてきたのは、期待していた相手ではなく、授業を終えた杉本だった。