「上条~、明後日のホワイトデーどうすんの?」
教室に戻ると
黒板には大きく『自習』と書かれていて
その文字に上条が小さくため息をつく。
席について机に置かれていた自習のプリントに目を通している時
前の席の武田が勢いよく振り返った。
「……」
あまり触れられたくない話題に
上条が黙っていると武田が自慢げに話し出す。
「オレ、ここ1ヶ月で女子の意見リサーチしたんだ。
教えてやろうか」
授業開始のチャイムが鳴っても
黒板に自習と告げられた教室は騒がしいまま
休み時間と変わらない笑い声が響く。
鏡を見ながらメイクをする女子に
音漏れをさせながらイヤホンに聞き入る男子…
各々プリントなんか気にせず好きな事をしていた。
武田の言葉に上条が少し顔を上げると
武田の持っているメモに
『twinkle』そう書かれた文字が見えて…
「あっ!何すんだよっ」
武田の手からメモを奪い取った。
『1番人気
○○○
やっぱり老舗は強い!
でもクッキー6枚で1200円…たけー
2番人気
○○○
っつうかホワイトデーに
ブランドもんなんかねだるな!
3番人気
……』
いちいち武田のコメントが鬱陶しくて
上条が早々と視線を流す。
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