【短編】甘口キャンディー



「…おまえ本当にちっちぇな(笑)

何センチ?」


座っている上条と立っている日奈の目線はそれほど変わらなくて
上条がふっと笑いながら口を開いた。


「154センチ…

でももっと伸びるもんっ」


少し膨れて言い訳する日奈に上条が笑みをこぼす。



『154』

日奈に関係する事は全部大切に思えて…


『1』『5』『4』

明日からその数字さえも特別に思ってしまいそうな自分に少し呆れる。




「上条くんは?」


「…177…8だったけな」


高校に入った時は173センチだった身長は
成長期が手伝ってここ1年で著しく伸びていた。


特別身長の必要のないテニス部では
上条の身長の高さは少し目を引いていた。



「…日奈」


2人きりの時だけ名前で呼ぶ上条に
まだ少し慣れなくて…

日奈が少しびっくりした様子で返事をする。


「なに?」


「…キスさせて?」


自分より少し低いところから見上げてくる上条の表情は真剣で…

日奈が頬を赤く染める。


初めてキスしたバレンタイン以来、

毎日ここでキスしてたがこんな風に聞かれたのは初めてだった。


いつもは予鈴を合図に軽くキスされて…
自分が身構えるよりも先に唇が離れたから

そんなに緊張はしなかった。



だけど…


こんな風に聞かれると
感じた事のない緊張が日奈を襲ってきて…


心臓を信じられないくらい早く動かす。



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