「上条くんっ」
昼休み、日奈が上条のクラスを訪れるのが
バレンタイン以来、日課になっていた。
学校では相変わらずクールな上条が
席に着いたまま一瞬だけ視線を日奈に向ける。
「上条~、日奈ちゃん可哀相じゃん~
もっと愛想よく…いっって!!」
友達の武田の椅子を蹴り上げながら上条が立ち上がった。
そして…
「…呼び捨てにすんじゃねぇ」
武田にしか聞こえないくらいの小声で言ってから
笑顔で待っている日奈のところへ足を向けた。
教室の後ろのドアの影に隠れるようにして
顔だけを覗かせる日奈が毎日可愛くて
思わず緩みそうになる口元を片手で隠す。
「…行くか」
「うんっ」
昼休み、
開いている教室でお弁当を2人で食べるのも
バレンタイン以来の日課になっていた。
「上条くんがいつも一緒にいる人って何ていう名前?」
会議室の鍵を開ける上条に日奈が聞く。
会議室はテニス部で使用することが結構あるため
テニス部として会議室の鍵を1つ持っている。
その鍵を朝連の時にこっそり拝借して
夕方の部活の時返すのが最近の上条の行動パターンだった。
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