【短編】甘口キャンディー





……――――ピシャッ







乾いた音を響かせながら会議室のドアが閉められる。





腕を掴まれたまま

縮こまるようにして動かない日奈に…



上条が口を開いた。




「…昨日、なんで逃げたんだよ」


上条の低い声に日奈がびくっと体をすくませて…

俯いたまま気まずそうに話し出す。



「だって…

上条くん他の女の子と仲良さそうにしてたから…


…あの人誰?」


「…逆ナンされただけだから知らねぇ」


「嘘だっ

だって…駅は上条くんちとは反対方面だもんっ


部活終わったらいつもすぐ帰るのに…

なんであんなところにいたの…?」


ずっと俯いたまま目を合わせようとしない日奈に
上条が不機嫌そうな声を出す。




「…日奈、顔あげろよ」


「やだ…」


珍しく反抗的な日奈に無性に腹が立って…

もどかしくなって…


上条が日奈の顎に手をかけ無理矢理顔を上げさせた。



日奈の目にいっぱいの涙がたまってるのを見て…

上条が表情を歪める。



「なんで泣いてんだよ…」


顔を逸らそうとしていた日奈だったが
上条の力には叶わなくて

諦めたように口を開いた。



「だって…

上条くんもうあたしの事飽きちゃったのかもしれないって…


そう思って…」


予想もしていなかった日奈の言葉に
上条が眉間にしわをよせた。


「は?」


「だってっ

告白したのもあたしからだし、
2人きりの時しか名前で呼んでくれないし…

それにっ

ホワイトデーの飴…


あたしがわがまま言ったから…


だからっ…」


「…もう黙れ(笑)」



目にこぼれそうなほど涙をためて必死に言う日奈が可愛くて…

くだらない事を気にしている日奈がバカみたいに可愛くて…


上条の表情から笑みがこぼれる。





『嫌われたかも』


そんな事まで考えた自分にも呆れてしまって…


上条が苦笑いしながら日奈を見つめた。




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