【短編】甘口キャンディー



店に入った途端甘い香りが鼻をついて
上条が顔を歪める。


店の中はこれもまた想像通りで…

カラフルな星のインテリアが
白い空間を彩っていた。


視線を落とすといくつものクッキーやら
チョコやらが並べられていて…

探すのも面倒くさくてケーキのショーケースの前にいる
フリフリのエプロンをつけた店員に声をかけた。



「…ホワイトデーの飴ってありますか?」


振り返った店員が上条を見て…
申し訳なさげに笑う。


「今日はもう売り切れちゃったんです。

明日も売りますけど…

この時間だと多分もうないですよ。


お昼過ぎには売り切れるんで…」


「……」


せっかく勇気を出して店に入ったのに

意を決して話しかけたのに…



報われない自分が益々不憫に思えてきて
上条が首の後ろをかく。


「…どうも」


「あ、ちょっと」


ぼそっと呟いて店をでようとした上条を
店員が止めた。



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