不思議少年はかく語る



「かごめ?」


渉がこちらを向こうとしたが、寸でで止まり、そういうことかと納得する。


「ならば余計に、それは好美さんの気のせい――いや、幻にすぎませんよ」


「まぼろしって……」


「お湯に顔と言いましたが、それはきちんとした顔でしたか?」


「きちんとと言うか……、黒い目と口があって、笑ってた」


「肌の色は?」


「なかった。お湯と同化していたみたいに……」


「黒い目と口と言いましたが、ああ、そうですね、ムンクの叫びみたいに崩れてませんでしたか?」


「……、まあ」


思い出すのも嫌だが、確かにあの“輪郭ない顔”の目と口は、おおよそ人間のそれとはかけ離れていて、見るだけで不安を煽るようなあの一枚絵のようでもあった。