「ええ。確実に何もいません。好美さんの勘違いです」
「い、いたんだよっ、お風呂……お湯にっ、顔が出てきて……!」
「この土地――家には僕が招かない限り、“おかしなモノ”は入ってきません。絶対に」
それが渉の自信だった。“一番安全な場所”に相応しく、ここにおかしなモノ――つまりは怖いモノは来ないというが、はいそうですかと信じられることはできない。
都市伝説で語られる怪異はどこにでも現れるだろう。
人を超えた化け物だからこそ恐れられ、畏怖する。
それがこんな土地に入れないという確証がどこにあるのか。
「勘違いじゃないっ、いて……、そこに……!」
「でしたら気のせいです。今宵、僕はあなた以外は招いていない。ならば何も入ってきません」


