やがて、頭の隅は言った。
「後ろのしょうめん、だーあれぇ」
「ひっ」
今までが頭の中の声に過ぎなかったはずが、最後はやけに――耳穴に入り込んだ音に聞こえた。
たまらず目を開けるが、すぐに閉じる。
泡が目に入った。微力と言えど、眼球に対しては決定的な痛みだ。
目を擦ろうとするが、髪を洗っていた指先も泡まみれ、二次災害を産むのは分かり、好美はとっさに浴槽のお湯をすくい目を洗った。
あついが痛いよりはましに思え、ごしごしとする。荒い指先は早く目を開けたく、光を求めたからに違いない。
まだずきずきするものの、好美は目を開けた。ふうと思い、光あることに安堵する。
――考えすぎ。
静まり返った浴室でバカみたいと思ったつかの間。


