『い……い……る』
――子守唄じゃないもんなぁ。
子守唄に念頭は置いたもののしっくりはこない。
ただいい線は行っていると好美は思う。
同じ単語を繰り返す、間延びした音程に、ゆっくりとしたリズム。
髪を一通り濡らした後に、シャワーを止め、好美はシャンプーを探した。フローラルの香りの液体を手のひらに乗せる。
頭につけ、しゃかしゃかと頭で泡立てる。依然、思考は歌についてだが、こんな稚拙な髪洗いに行動命令をわざわざ意識することもなく、頭で歌を考えながら、好美は指を動かす。
瞼はいつの間にか瞑られている。
――後半あたりはなんか特に聞いたことがあるんだけどな。
歌がいつから始まったか分からないのでそれがサビだかしめなのかは分からないが、はっきり、まるで強調するかのような旋律があったのだ。


