赤い捻りを回した後に青い捻りを少しだけ。
温度調整なんておおよそでやれ方式らしく、好美はしばしばシャワーと格闘した。
熱すぎると思ったら青い捻りを回し、それでぬるすぎたから赤い捻りをと、イライラゲームに近いことをしていた。
格闘はそう長く続かず、妥協温度で好美は頭からシャワーを浴びた。
顔を下に向けて、頭を重点的に狙う。
重くなる髪。人体の重さの一割が頭にあるらしいが、更に一割増えたような。
――そういえば、あれなんだったんだろう。
襖向こうの何かも気になるが、きちんと認識してしまった物体が好美には気になった。
――渉くんのお母さん、かな。
石の階段に座っていた黒い人。――人というより異質よりだが、紛れもなく人の形をしていた物体。


