今ならば魔法瓶式と八時間経っても温度を保ち続ける浴槽もあるらしいが、そんな最新式とこの質素さは無縁に見えた。
「……」
やはり誰かいるのだろうか。
思うに、見ないならいないとしか断定ができないのだ。
家全体を回ったわけではないが、居間からここまで来る間に一切の音(人気)はなく、渉以外に誰かいるとも思えない。
「……」
考えをやめさせる、ぶるっとした体を湯に浸らそうと好美はまず体を洗うことにした。
髪が体と認識されるか曖昧だが、風呂に入る時、体を洗う前に好美はまず髪を洗うタイプだった。
シャワーノズルを手にする。
蛇口には赤い捻りと青い捻り。赤がお湯で青が水であるのは察した。


