(五)
一人と独りの違いについては、辞書に寄れば区別つけるほどのものではないらしいが、漢字が違うからには見たものに“捉え方”というものを与える。
その点で言えば、一人は人数としての状(かたち)。
独りは孤独としての象(かたち)だ。
渉は言った。
一人暮らしであり、独り暮らしではないと。
なぞかけに近いが少し捻れば分かるだろう。
“一人と数えるのは人間”であり、“独りの枠組みにその他が混ざれば”それは列記とした孤独とは無縁になる。
そこをつけば、一人暮らしである輩は蚊でもハエでもいる室内にいるわけだから、おおらかな目でみればそれは“独り”ではないだろう。
一人と一匹。
渉の言う独り暮らしではないの言い分は害虫で事足りるが、まさか人間的に考えて害虫を我が家の住人として“頭数に入れる”ことはするまい。


