身体を反転させ、わたしを確認した彼は、しばし呆然としてから。
 
ゆっくりと口角をあげて、笑った。
 

その手に包帯は、もうない。


「これでやっと言える」
 
すこしだけ大人びた顔を、わたしはまっすぐと見つめて、深呼吸。


「今度こそ、わたしと恋をして」



【瑠璃の羊 終】