一瞬だった。 私の腕を握っているお父さんの腕の力が弱まって、その隙に腕をまわして、歩いてきた方向に走った。 上手く走れないけど、お酒のんでフラフラなお父さんよりは速い。 ――――まるで、あの日のよう。 走ったら、またひいてくれてもいい。 だからお願い。 私をまた………、 拾って……。