撃ったのは前の2人のうち、どっちなのかはわからない。
けれど芹奈さんが引き金を引くより早く、彼らのうち一方が引き金を引いた。まるで終焉を告げる、合図のように。


「……終わったな。」


ポツリ、と誰かが呟いた言葉は、誰の声か判断する前に宙に溶けて消えた。
でもあまりにもしっくりした言葉に、妙に安心したのも事実。

終わったんだ、全て。
これでもうこの時代で、大切なみんなが傷つくことはない。


「んじゃ、さっさとアジト帰ろーぜ隊長。
ナギだって早くちゃんとした治療しねーと……って、おいナギ!」


ぼんやりとした意識の中、最後に見えたのはあたしに必死に呼び掛ける3人の顔。普段ムカつく湊さえも必死な顔してるもんだから、思わず笑みが零れる。

でもそれにしてもあたし、このまま本当に死ぬのかな?
だとしたら、あまりにも呆気ない。

だけど別に、悔いはないよ。
全てを終わらせることができたし、両親の仇を討てたし。

でも一つ、心残りがあるとすれば――…
最期にもう一回、莱の姿が見たかったな。

そんな風に思ったのを最後に、あたしの意識は閉ざされた。





 ― Chapter.6 * END ―