耳元で鳴り続けるコール音。 いっそ電話に出ないでほしいと思う。 これから、 あたしはタクちゃんをずたずたにするに違いないから。 ちょうど3回コールしたところで、 コール音は止まった。 『…もしもし、タクちゃん?』 『美生?どうしたの?何か声が震えてるけど…』 『…あたしと、別れてください』 『…え?』 『ごめんなさい…好きな人が、できたの』 空気が、震えた。 …何より大切に想うはずだった人。 その人をあたしは今、 誰より傷つけた。