あたしは、

今度こそ自分を軽蔑したくなった。

タクさんにキスされて、

こんなにも満たされてしまう。

こんなにも、幸せだと思ってしまう。


そして、タクさんも軽蔑したくなった。

恋人がいるんでしょう?

どうしてあたしにキスするの?


…それでもこの人が欲しい。

あたしは、この人が、たまらなく欲しい。










その夜、

あたしはタクさんのアパートに行った。

雨が降っていた。

まるで、泣いてるみたいに。

窓にかかる雨の雫をぼんやりと見ながら、

あたしはタクさんに抱かれた。

…ねぇ、澪。

幸せって、なんだろうね。

もう、わからないけれど、

深く深く墜落していく心だけは感じていた。