―――――全てを話した後、

タクさんは静かに立ち上がり、

言った。

「おまえをかわいそうだなんて思わないよ。むしろ、支えてやりたいくらいだ。でも、俺には恋人がいる。」

「…わかってます」

泣き疲れてかすれた声で、

つぶやくようにあたしは続けた。

「だから、気持ちを伝えられたからあたしはもう十分です。タクさんと彼女さんの邪魔しようとか、そんなことは一切考えてないです。だから…」

“もういいんです”という言葉はあたしの口から出ることは叶わなかった。

涙でかすれた世界には、タクさんがいっぱいに映っていた。

タクさんのくちびるはひんやりとして、

なぜだかあたしは心地良いと思った。

心地良くて、

悲しかった。