腕を掴まれたタクさんはきょとんとしてあたしを見下ろした。 離すに離せなくなったあたしの手。 タクさんに聞きたいことが山ほどある。 でもそれを聞いたら、あたしの中の“タクちゃんを好きな気持ち”が、崩壊してしまう。 タクちゃんを、好きでいられなくなる。 タクさんに何を言われたわけでも、 されたわけでもない。 でも、わかった。 質問にどんな返事を返されても、 あたしはこの人を好きになってしまう。 ……いや、もう好きだった。