特に目が疲労する。


 僕も司法試験合格後、司法修習(しほうしゅうしゅう)を経て弁護士となり、この事務所に入ってきた。


 資料や書類などはいくらでも読んできたのだし、弁護士と言っても若いうちは圧倒して雑務の方が多い。


 須山が部屋に入ってきたのは他でもなかった。


 木崎朱莉の弁護の件で、いろいろと言いたいことがあったようだ。


「何か変わったことでも?」


「ああ。事件当夜、あのホテルの部屋にわざと木崎さんを呼び出し、事件の現場を見せて殺人容疑を着せた人間がいるんだ。ホテルフロアの防犯カメラに怪しい女が映ってたようで、これがその画像」


 須山がそう言って、僕に紙に印刷された複数枚のカメラの映像を見せる。


 何かがあるようだった。


 やはり木崎が何者かにより誘(おび)き出されて、殺人の罪を着せられ、挙句警察から乱暴な取調べを受けたようだ。


「須山先生、私だけじゃやはりこの殺人事件の公判の弁護はできません」